Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

映画レビュー

Mommy / マミー

15-023.グザヴィエ・ドラン「Mommy/マミー」(カンヌ審査員賞受賞作)http://mommy-xdolan.jpアスペクト比1:1の画面に収められると「面白くて/愛らしくて/分かち合いたい」ポートレートに思えてくる。これ、インスタグラム効果と呼びたい。情報量を抑える…

セッション

僕が、映画好きもしくは音楽好きのどちらか一方であったなら、この作品に対する愛憎に心を掻き毟られることなんてなかったのに。ブーイングと称賛の拍手を同時に送りたい。 映画『セッション』予告編 - YouTube この映画については、映画評論家の町山智浩さ…

薄氷の殺人

中華系の映画で登場人物たちの心境を示唆する象徴的な食事の風景として、よく「肉まん」が出てくるのは、どうしてなんだろう。しかも、出てくると必ず食べたくなっちゃうんだよね。今日観た「薄氷の殺人」もそうでした。帰りに成城石井で購入笑使い古された…

ジャージー・ボーイズ

15-01. 新年映画始めは、キネマ旬報ベストテン2014年外国映画第1位に輝いたクリント・イーストウッド作品。上映最終日に駆け込みで観てきました。 僕は監督名で映画を選ぶことが多いのですが、大御所よりも若手を優先するタチなもので、イーストウッド監督作…

螺旋銀河

終盤まで2人(3人)の関係にある緊張感と鮮やかなイメージのコントラストが素晴らしかった。今年のIDCFで最大の収穫。

アクト・オブ・キリング

大量虐殺の「英雄」たちを被写体にした衝撃的なドキュメンタリー。耳目を塞ぎたくなる非常にツラいシーンもあり、一方で僕の空いた口が終始塞がらず。けれど、ジャーナリズムの勝利を静かに宣言するかのようなラストまでちゃんと観てよかった。

ぼくたちの家族

何度か涙腺決壊したけど、そのいずれもお涙頂戴とはちょっと違う場面だったのが特徴的。石井裕也節とでも言うべきか、主人公が吹っ切れたようになにかに取り組み始める展開はお馴染みだけど、過去作に比べるとその転換がとても自然。

ローマ環状線、めぐりゆく人生たち(原題: SACRO GRA)

ヴェネツィアでドキュメンタリーとして初の金獅子賞を奪取した話題作。公開3日目の平日朝1本目に行ったらチケットが取れず、翌日リベンジ。やはり満席でした。 カメラは、社会的な生き物としての人間の暮らし、勃興と没落の有機性をとても愛おしく映し出す。…

コーヒーをめぐる冒険(原題: Oh Boy)

都市に暮らしそれぞれに問題を抱えた人たちとのやりとりを通して、自分の問題と向き合っていく青年の1日。苦いコーヒーは現実と折り合うことのメタファーっぽいけれど、そこに悲壮感がまったくないのが素敵。そしてモノクロのベルリンの街の情景が美しすぎて…

5つ数えれば君の夢

思考がピリピリしてきた。思春期の女の子の魅力と醜悪のアンサンブルは、衝撃的な処女作「あの娘が海辺で踊ってる」の流れを汲んでいながら、主人公に5人を据えた複層的な物語になって味わいが格段に増している。妄想にリアリティが少し同居し始めている点に…

風立ちぬ 感想走り書き

年間に100本も映画を観てると、1本1本に対する評価は割とスパッと決めて片っ端から忘れていくことになるのだが、どう評価してよいかなかなか結論が出ない作品というのがある。 「風立ちぬ」はそういう作品のひとつだった。 だから完全にタイミングを逸した、…

The Lady 引き裂かれた愛

僕のミャンマーに対する関心の始まりは、学生時代に少しだけ参加していたアムネスティインターナショナルの大学支部の活動で読んだニュースレターだった。アウンサースーチーさんっていう長い名前の女の人が、自宅軟禁っていう頭にはてなが3つくらい浮かびそ…

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

9.11で父親を亡くしたアスペルガー症候群の兆候のある少年が、1年後に父の遺品から鍵を見つけ、その鍵穴を探すためにNYCの色んな人と出会う物語。テーマはいつの間にか、愛する人の喪失から、愛を伝えることの大切さへと移っていく。思うに、日本人の価値観…

2011年 劇場鑑賞映画TOP20

1.海炭市叙景 2.127時間 3.シンプル・シモン 4.キック・アス 5.ブラック・スワン 6.PLAY 7.マイ・バック・ページ 8.タレンタイム 9.八日目の蝉 10.人生、ここにあり! 11.あぜみちジャンピンッ! 12.SOMEWHERE 13.MR.NOBODY 14.ブルーバレンタイン 15.パラダ…

あぜみちジャンピンッ!

耳の聞こえない女子中学生がストリートダンスと出会い、そこで生まれる衝突や葛藤、周囲の反応を描く感動作。世界各国の映画祭で観客賞などいくつも賞を獲っている。序盤の展開は割とありきたりという感じで、ストリートダンスのチームに優しい友人ができ、…

マイ・バック・ページ

この映画が傑作であることを説明するために、いくつかの断りを入れなければいけない。 推奨年齢は20代後半~30代 1970年前後の学生運動が丁寧に描かれているけれど、その特徴を決定付けるのは、監督が34歳の山下敦弘さん(大阪芸大卒)、つまり全共闘運動を…

八日目の蝉

カメラワークが丁寧でいい。井上真央の初登場シーン(布団にうつぶせ)とか、強いこだわりが感じられる。カットの切り換えも自然なタイミングで、母の生きる過去と娘の生きる現在を行ったりきたりする脚本なのに、違和感がない。上映時間が長いのもその裏返…

SOMEWHERE

ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞という箔がない状態で観たらどう評価しただろう?と考えてみたけれど、どう言っても名作。映画表現の理想と現実について、僕が映画に対して抱く憧憬と嫌悪について、ソフィア・コッポラ監督ならではの視点で実に的確に描ききっ…

名前のない少年、脚のない少女

事前にどんな映画なのか(舞台背景とあらすじ)を掴んでおかないとわけがわからない感じのまま物語が進んでしまう。誰が生きてて誰が死んでるのか、どのシーンが妄想でどこからが現実なのか、敢えて曖昧にしている、おれの苦手なタイプの映画。序盤は退屈だ…

キック・アス

アメコミに憧れるオタクの高校生が、ヒーローの変装をして街に出て、オヤジ狩りしてるチンピラに勇気を振り絞って注意したけどあえなくボコボコにされる。それでもめげずに夜の街を巡回していたある日、リンチを目撃。やっぱりボコボコにされながらも、キザ…

ウォール・ストリート

世の中で最も重要なものはラブ&ピースなんだと、強く思った。世界を狂喜させる金とゲームの力は決して留まる所を知らないから、それに対抗すべく、常にラブ&ピースを胸に掲げて行かなければならない。それはちょうど、女が世の中を造り、男がそれを壊し進…

2010年 劇場鑑賞映画TOP10

1位:告白 【レビュー】http://d.hatena.ne.jp/choooo/20100606/1275846721 告白 【DVD特別価格版】 [DVD] 出版社/メーカー: 東宝 発売日: 2011/01/28 メディア: DVD 購入: 3人 クリック: 251回 この商品を含むブログ (285件) を見る 2位:パリ20区、僕た…

海炭市叙景

すべての映像が印象的。これは凄い。進水式も年越しそばも、ソファに横たわる老婆もその指も、焦って雪にはまった車もプラネタリウムも、営業マンの説教も布団にうずくまる子供も、路面電車運転手の手捌きも品の無いスナックのホステスも、すべてが直感的に…

トイレット

ありふれた日常への鬱屈と、そこにストレンジャーがいる居心地の悪さが、いつの間にかクスクス笑える心地よい生活の一頁に変わっていく。絵本の童話のようにキャラはデフォルメされてるけど、荻上監督作品のこの纏まり感好きだなぁ。

シュアリー・サムデイ

期待しないで観たのがよかったか。比喩的に言えば、演技慣れした俳優たちが出るだけで学生映画はこんなに面白くなるということ。だけど小栗旬監督の素晴らしい仕事は、彼らのテンションを上げ楽しませたことだろうな。いやしかし、小西真奈美がかわゆかった……

ヒックとドラゴン 3D

随所ですげぇドキドキさせてくれる!深読みすればこの映画の優しさに惚れること間違いなし。DreamWorksの作品は初めて観たんだけど、評判通り良質だね。

カラフル

原恵一監督作「カラフル」観ましたー。中学生が抱える悩みに正面から向き合う教育的作品。鼻頭熱くなりました。SF的かなと思い込んでた俺には意外な決着でしたが、自分の人生に向き合えーってことでしょう。

東京島

「東京島」超楽しかった‼流行りの無人島モノ、けどこれは完っ全にコメディ。偶然や策略で権力者が目まぐるしく変わるサマが面白い。統治社会になった瞬間に女性が不要になるとか示唆に富んでる。木村多江の新境地!脇役の高橋一生も渋味が出てきた。そしてな…

ようこそ、アムステルダム国立美術館へ

ドキュメンタリー。ようこそ、と言っておきながら、4年に渡る撮影の間は、改装のためにずっと閉館中。来館者が作品を鑑賞する姿をもう長いこと見られないでいる職員が、健気で可哀そうだと思いました。

RED LINE

全編手描きアニメ映画「RED LINE」楽しいぃ‼ ゴールの先に目的があって走るわけじゃない。約束のないゴールに向かってただすっ飛ばす。何も考えなくていい。エンジンが震わせる重低音に身体を預けるだけ。