Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

映画レビュー

Crazy

世界中の戦場で心に傷を負って帰ってきたオランダ兵たちへの聞き取り。過去の行いを自身で納得させたり罪悪感を慰めたりするための、酒のように酔わせる音楽の力。

要塞

スイスの難民申請者受け入れ施設の取材。世界中からやってくる難民の運命を決める面接。危うい信頼。

悪人

映画「悪人」良い。泣く。社会的ヒエラルキーと愛の欠乏の話。セリフに「国道」が出てくるが、映画「国道20号線」を意識したのかな。キャスティングに意外性が無い事以外、特に不満が見つからない。ブッキーと深津絵里のベッドシーンの表現が結構ストレート…

ロストパラダイス・イン・トーキョー

もう今週末で公開は終わってしまいましたが、レイトショーなのにかなり観客多かった(超満員になった日もあるようです)ので、またいずれどこかで上映されると思います。会社帰りに、家とは逆方向の東中野までわざわざ観に行った甲斐がありました! 宣伝で引…

BECK

「BECK」。なんてコメントしづらい映画だー。賛辞は月並なことしか言えそうにないし、不満を言ったらネタバレになるし、批判は的外れになりそう。売れっ子の監督と俳優を集めて膨大な制約の中で作られた娯楽作。但し、俺にとってシンパシーを持てる大きな物…

ネムリバ

主演女優を埼玉県民から選出し、埼玉県内でロケを行い、埼玉県の支援によって制作された映画という理由から、埼玉のご当地ネタが散りばめられていて、県民ならくすっと笑えるかもしれない。 けれど注目すべきはそんなところではなく、この映画作品の設定の奇…

借りぐらしのアリエッティ

よく考えたら、実はジブリ作品を映画館のスクリーンで観たのは初めてだった。1年経てば確実にテレビで観られるものだと考えると、お金が勿体無いし、映画館に足が向かなかったのだ。けれど今回は、小人の視点で世界を描いたその映像に期待してみることにした…

INCEPTION

先行上映で観ました。映像に関しては期待以上で大満足。ビル街が折り重なるシーンや無重力で浮きながら取っ組み合うシーンなど、予告編で垣間見られるエポックメイキングな映像は、映画のほとんどのシーンを占める夢の世界の描写にとことん発揮されています…

パリ20区、僕たちのクラス

監督独自の撮影方法で、事前情報が無ければドキュメンタリーだと思わせるようなリアリティを、造り上げてみせた。ローラン・カンテ監督の他の作品を観たくなる。まず、出演者は、映画の舞台となるパリ20区の中学校で学ぶ、演技経験のない生徒と教師たち。シー…

トルパン

カザフスタン映画の特集上映で、2008年のカンヌある視点部門や東京国際映画祭のサクラグランプリと最優秀監督賞を受賞した『トルパン』を観ました。これは、海軍の兵役を終えて姉夫婦のもとへと帰ってきた青年を通じて描く遊牧民一家の物語。ドイツ、スイス…

トロッコ

ある夏の日、小学生の敦は、急死した台湾人の父親の遺灰を届けるため、弟と日本人の母親と3人で、台湾中南部の小さな村を訪れる。近くて遠かった父親の故郷には日本語を話す祖父母たちが待っていた――日本統治時代をしなやかに生き抜いてきた祖父母たちの無償…

鉄男 THE BULLET MAN

悪夢のような映画。鉄の味のロックンロール。映像と音響の圧力に屈しそうになりながらなんとか耐え、71分間の上映終了後には、ものすごく疲れている。でもこんな体験、結局気持ちイイ。映画ホリック向け。

告白

ヤバい!っヤバい!ヤバいって言葉は何の説明にもなってないから普段使わないんだけど、これはヤバい!ヤバいという言葉でこの恍惚、この興奮を表現させてほしい!と、鑑賞後急いでTwitterでつぶやいた。 上映中、画面からひと時も目が離せず、身動きが取れ…

息もできない

主人公は粗暴な男。むしゃくしゃしたらすぐに周りにあたる。しかし不思議だったのは、彼のトラウマとなっている過去の経験が画面に描かれる前から、彼の行動にシンパシーを感じさせたこと。暴力描写ばかりのアクション映画には反吐が出るが、この作品はむし…

ビルマVJ 消された革命

2007年ビルマ(ミャンマー)軍事政権による民衆弾圧と、それに果敢に立ち向かう僧侶たち、そして民衆を隠しカメラで追った、衝撃の記録。憤りと悲しみと無力さと正義感で感情がぐちゃぐちゃになった。本当にすごい。ビデオジャーナリスト達が命を賭けて撮っ…

scope

性犯罪者の個人情報を公開する法律が制定されたら?6年の刑期を終えて社会復帰を目指す主人公の苦悩を描くフィクション。よかったです。法案の賛否どちらの意見にも寄らず、いわゆる「映画」っぽく仕上げたのが、予想と違って違和感もありましたが、このスタ…

2009年 劇場鑑賞映画TOP10

1. 愛のむきだし 2. ディア・ドクター 3. サマー・ウォーズ 4. コード <仏> 5. 17アゲイン <米> 6. 無防備 7. WAR DANCE 響け僕らの鼓動 <米> 8. ホノカア・ボーイ 9. トーテム song for home 10. 俺たちの世界 愛のむきだし [DVD] 出版社/メーカー: アミュ…

ハート・ロッカー

本年度米国アカデミー賞最優秀作品賞!キャスリン・ビグロー監督も、女性として最優秀監督賞を史上初受賞。賞レースは、マスコミによって元夫ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」との対決が騒ぎ立てられていたけど、両方観たなら軍配はおのずとわかる。…

涼宮ハルヒの消失

「ハルヒ」は、アキバっぽさが強すぎて敬遠している類の作品。テレビ放映は見たことがないし、もちろん原作ノベルも未読。ではなぜこの劇場版を観たかというと、とある辛口映画評論家が大絶賛していたから。そこまでなのか?と。 何も予備知識がない状態で観…

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

尾田栄一郎氏はどこかのインタビュー記事で「15歳の自分が読んでおもしろいと思うものを描く」と語っていた。そうやって「誰に」語るためかをブレずにつくられたストーリーは、対象外の者にもメッセージを伝えられるし、エキサイティングだ。 期待以上。小西…

宇宙戦艦ヤマト 復活篇

※予告編ではありません 熱くて短絡的。血の気が多く身勝手な軍人たちのパトリオットドラマ。墜落した飛行機の中から娘だけ助け出して他の搭乗者に目もくれず地球から脱出する主人公にどん引き。戦闘は玉砕のオンパレード。「誇り」のために、自国民を守る任…

Between Two Worlds

「2つの世界の間で」(スリランカ) http://www.filmex.net/2009/compe.htm http://eiga.com/movie/55034/ 映画表現について考え直させる映画。内容はフィクション、映像で魅せる作品とくれば、もう少し観客受けがよくてもよいのだけれど、この作品はあくま…

仏陀再誕

「幸福の科学」の大川隆法氏が製作総指揮。子安武人、三石琴乃といった有名声優を配し、業界有数のVFXスタッフを揃えた超大作。 お口あんぐり、おもしろすぎて画面からひとときも目が離せませんでした。超能力や霊能力を使う人物たちが当たり前のように登場…

わたし出すわ

秀逸なタイトルだけど、この映画のテーマをわかりやすく表すために別のタイトルをつけるとすれば、「お金とあなた」といった具合だろう。惜しげもなく大金を繰り出す主人公の言動に最初は目がいくかもしれないけど、実は僕たちとお金とのふれあいを描いて見…

トーテム song for home

台湾原住民出身のバンドTOTEMとそのvocalスミンを追いかけた音楽ドキュメンタリー映画。 寄り添うようにいつもそこに音楽があるなら、その音楽こそ、僕を支え、癒し、ときに試し、素直にさせてくれるものだ。突き抜ける眼差しのような前衛音楽を芸術として評…

LE CODE A CHANGE

フランス映画。ホームパーティーに集まった11人の男女が、表面的な付き合いと本音を使い分けておしゃべりを繰り広げる群像劇。そのパーティーをきっかけにそれぞれの人生が動き出していく。 「Le code a change」は、劇中、門錠を解けない訪問客が言う言葉。…

無防備

シネマート新宿で上映中!(R18+指定) 女性にとって「出産」であり、子どもにとって「誕生」であるあの瞬間、男性の胸に去来するのはどんな感情だろうか?自分の手の届かないところで起こるそのできごとを、この目に収めておきたいと思い、映画館に足を運ん…

ちゃんと伝える

ヒット鉄板の余命モノ。 この映画がそれらと異なるのは、見送る方も余命宣告を受けているという点。その1点のみで、これほど愛と衝動に満ちた温かい話になるとは!まさに園子温監督のアイディアの勝利!

SUMMER WARS

この映画の優れている点のひとつは、人を傷つけないアクション映画だということ。「家族をテーマにしたアクション映画」というアイディアについて鑑賞前は「?」と思っていたけれど、それを具象化すると、あぁこういうことになるのかと納得。宣伝のために事…

love actually / crash

「TSUTAYA100選」100円レンタルでたまたま一緒に借りた2本。群像劇という点は共通しているけど、内容は振れ幅がありすぎて、同じ日に見たことをちょっと後悔してる。 ラブ・アクチュアリー 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD] 出版社/メーカー…