Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

2008年お気に入り音楽CD TOP10

1. Moralist S.S. / Lillies and Remains

2. falliccia / kenmochi hidefumi

3. THE INVITATION EP / MONICA URANGLASS

4. シリアルキラー / serial TV drama

5. 堂島孝平楽団デビュー(2007) / 堂島孝平

6. ORACULAR SPECTACULAR / MGMT

7. PRETAPORTER(2007) / 大橋トリオ

8. GAME / Perfume

9. IN GHOST COLOURS / CUT COPY

10. ヘヴンリィ・パンク:アダージョ(2002) / 七尾旅人


※2008年に購入した音楽CD(全57点)から選出




Moralist S.S.

Moralist S.S.

美しさと鋭さを両立した、これほどカッコいいアルバムを見つけたのは久しぶりだ。暴力的で病的な系統に分類されるヴォーカルは、普段の僕は決して耳を止めることのない類のものなのだけれど、驚く間もないほどすんなりと、この脳の中に入り込んできた。あいにくJ-POP以外を聴かない僕には、トラックメイカーKENTが参照した楽曲については全く検討がつかないが、上質な音楽的バックグランドを糧にしているだろうことは、すぐにわかる。それだけ周囲の「雰囲気」をがらりと変える力を持っているバンドだということだ。情熱と客観性を兼ね備えたこれらの楽曲は、ポップとロックの原理的な交点に存立しているのだと思う。

(「セカンド・ブリーチ」2008/5/19 再掲)


Falliccia

Falliccia

一昨年にはこれと同じレーベルから出たJemapurという19歳の新人ミュージシャンがマイブームだったが、昨年においてはこちらの方。ガットギターやキーボードをメインに紡ぎ出される繊細で解放的なメロディは、何度聴いても新鮮な安らぎを与えてくれる。どういうミュージシャンなのか知らなかったのでいま調べてみると、なんと本業は会社員の27歳。もっとベテランの人かと思ってた。これが"アフターファイヴ"で作れる音楽なのか!根底に流れるjazzyな感じは非常に安定感があるけど、特定のジャンルに寄ることのないスタイルが、フロンティア性を重視する俺の好みにはピッタリだ。


The Invitation EP

The Invitation EP

特徴をひとことで言えば、鋭くエッジの立ったヴォーカルとサウンド。一歩間違えればネオ・ヴィジュアル系になってしまいそうな外見だけど、サウンドは甘美的というには程遠い、破裂してしまったレイヴ。サウンドとファッションの両面において前衛的なこういうバンド、いそうでいなかったかもしれない。3月11日にフルアルバム発売予定だが、これだけエッジが強いとミニアルバムの尺のほうが適当なんじゃないか?と思う。


シリアルキラー

シリアルキラー

雑誌か何かで読んだ、女性記者が努めて冷静だが好意的に評価する記事が気になった。タワレコの視聴機のヘッドホンを耳にかけると、バンド名がそのまま楽曲のイメージと合致した。とてもドラマチック。女の子ウケがよさそうだ。「赤いパーカー」「まえぶれ」が人気だが、個人的には「さよなら」がこのアルバムのピークだと思う。


堂島孝平楽団デビュー / 堂島孝平楽団

http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1541660&GOODS_SORT_CD=104

とってもゴキゲンなライブ盤。ビッグバンドの顔ぶれが超豪華。家の近くの中古書店で偶然見つけた。どうしてAmazon.co.jpに無いんだろうと思ったら、タワレコ限定盤だった。タワレコ万歳!



Oracular Spectacular

Oracular Spectacular

Lillies and Remainsのヴォーカルがネットインタビューで、最近よく聴いているCDとして紹介していた。気になってこれまたタワレコで視聴して、すぐに購入を決めた。魔術にかかったような感じがいい。


PRETAPORTER

PRETAPORTER

新品の音楽CDはタワレコAmazon.co.jpでしか買わない。タワレコのポイント還元率はけっこう高いからね。・・・・・つくばで用事の合間に時間潰しで立ち寄ったWAVEの視聴機で、このアルバムに出会った。悩んだ末にその場で購入。つくばWAVE、そんなに視聴機が多くない中で大橋トリオを大PUSHするスタッフの熱意を汲みたくて、さらに大橋トリオというミュージシャンの存在を教えてくれたことへの感謝として。「BAUMKUCHEN」は名曲。おれのCDラックに収まらない紙ジャケじゃなければ、聴く頻度増えて、これより上位にランクインしたはずなんだけどな。


GAME(DVD付) 【初回限定盤】

GAME(DVD付) 【初回限定盤】

もはやコメント不要の大ヒット&超話題作。思いきりアイドルチックな打ち出しだと「好き!」と言うのはやっぱちょっと恥ずかしいよね。何度聴いても飽きる気配なし。


In Ghost Colours

In Ghost Colours

2008年の、おれの音楽嗜好の最大の変化と言えば、洋楽の重要性が高まってきたこと。以前は、日本人のつくる、日本のリアリティが反映された音楽が最大の関心だったけど、徐々にエレクトロニカとその周辺の音楽に深く入れ込んでいく中で、優れた音楽を探すためには洋楽は無視できなくなってきた。口火を切ったのがこのアルバム。これがきっかけとなって昨年後半から洋楽CDを多数買うようになったが、ひょっとすると「輸入盤」を買ったのはこれが初めてだったかもしれない。コーラスとシンセの合わせがお気に入りポイント。


ヘヴンリィ・パンク:アダージョ

ヘヴンリィ・パンク:アダージョ

彼のことはもともとSUPERCAR絡みで名前だけは知っていたけど、曲を最初に聞いたのは、2007年9月にアルバム「911 FANTASIA」が発売された時。とてつもなくユニークというか、こんなことをやってしまうのかという衝撃的なアルバムだったが、4500円もするので購入を諦めた。昨年ハマったきっかけは、偶然YouTubeで視た、「エンゼル・コール」という曲のPV。誰も言葉や音楽で表現できなかったけど確かに僕らの周りに存在する、何と呼ぶべきかもわからない事柄を、七尾くんはこの曲で表現することに成功している。理想的でも現実的でも世俗的でも宗教的でもない「存在」がここに示されていると思う。いくつか買った過去作品については、わけがわかんねぇなぁと感じながらも、それでもやっぱりその音楽の中に世界の真実があるような気がして、というかそういう気にさせる、そういう意味で実はかなり"宗教的"なアルバムじゃないだろうか。紋切り型だが敢えてわかりやすく言えば、男性版Chara、とでも言えるか。ぜったいに売れることはないと思うが、I NEED HIS MUSIC!!

(「セカンド・ブリーチ」2008/4/27 修正して再掲)