Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか


自分を保つために仮想的有能感を持って、他者を見下し、他者を否定する若者たちが増えている(中略)こうした現象も、いま、企業で起きている現象と同じではないだろうか。何も若い世代に起こっている固有の現象のようには思えない。むしろ関係が希薄化した職場では、こうした仮想であっても自己肯定感を得たいがために、時に周囲との関係を絶ち、時に周囲との関係を拒みながら、自分を守ろうとする行動が広がってしまっているということがないだろうか。(p.34-35)


社会的交換という観点からは論じられなかったものの、いままで(協力と裏切りの)問題がビジネスで論じられてこなかったわけではない。問題自体はかなり前から認識されている。しかし、それに対して撮られた主な対処法は「個人のコミュニケーション能力を上げる」という点に限定されてきた。マネジメント上の対人関係スキルを磨くためにはどうするべきか、といった問題設定がなされ、(中略)しかし(これは)、必要であっても十分ではない。重要なのは、自分が協力する意図と自分に接してもらうニーズを、周りのみんなにわかってもらうための方策を皆で実践することである。交換のために、どのような資源を提供できるのか、どのような資源が必要なのか。この点を自分だけが認識するのではなく、職場全体で共有しなくてはならない。(中略)たとえ何かアクシデントがあって、協力できなくとも、それですぐ信頼を失うようなことにならないだけの規範を、個人だけではなく職場全体が持たなくてはいけない。(p.88)