Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

コミュニケーション・デザインのためのキーワード

  • テクノロジー・カルチャー

人類の技術の中で最重要な一つとして「壁」がある。壁の持つ魔術性はすさまじく、壁一つ隔てていさえすれば、トイレの横でもおいしくご飯が食べられるほどです。(エキソニモ:アーティスト)


  • スケール

全体に対して有効と見える切り口を提示することが、むしろ基礎を曖昧にして空転することへの根拠にすり替わってしまっていること。資本主義型の構成が、大局も細部も同じものとしてベキ的な再構成を続ける以上、このことは見せかけ以上に厄介である。(中略)数や数式で割り切れる部分は、早めに割り切ってしまうのが良く、問題が始まるのはその地点から。(円城 塔:SF作家)


  • 媒体の設計

批評への欲望が、こうして、ほんらい通約不可能な異質な生産過程(時間)を一挙に見通そうとする、効率を求める欲望だったのであれば、批評の失墜とは単に、その欲望に基づこうとする媒体の設計不全、欠陥に由来する。(岡崎 乾二郎:造形作家)

  • c系列

近代において時間と空間を結び付けてきた関数が瓦解した状況が現在だろう。時間と空間が安定した関数を構成しなくなれば、そこで確保されていた諸価値(効率、情報量、速度、賃金、etc)も正当性を喪失する。(同)


  • 情動

これからの電子コミュニケーションでは、情動情報の脱落を積極的に補完するような技術が不可欠である。(岡ノ谷 一夫:神経行動学)


  • 知足

個人レベルのミクロな行動が、国家、地球レベルのマクロな行動にどのように反映するのか、また、逆のプロセスがどうなるのかを、きちんと見極めるための数理モデルを作る(中略)ことによって、漠然とパラドックス的な解決不可能と思われていた課題に光明が射すはずだ。(今野 紀雄:数理科学)

  • 建築と旅行

自分が行っていることが世界にどのような影響を与えているのかという事実を、世界の誰もが簡単に知ることができるようにしなければならない。記号的なレベルだけではなく身体的なレベルで。そのためには、建築と旅行というシステムのデザインが非常に重要だと思う。(鈴木 健:国際大学GLOCOM研究員/株式会社サルガッソー社長)


  • インフォコモンズ

情報を軸とした中間共同体の可能性(佐々木 俊尚:ITジャーナリスト)


  • 架橋

小さな規模の話としても、異なる価値体系の間を、意識的に架橋していくことの必要をつよく感じる(何と何の間を架橋するかは、それぞれの現場によるにせよ)。それをやるのはとても面倒だから、つい手を抜いてしまい、その結果として「すべてが単一のデータベースに包含され、神の視点で見通せる」ことへの幻想がふくらむ一方で、個々のコミュニティがますます閉鎖性を高めていく、という事態が起きていると思う。(中俣 暁生:フリー編集者/文筆家)


  • アテンション

インターネットの登場とパソコンの低価格化により、知識/情報の外部化が可能になったことで、必要とされるのは知そのものではなく、知がどこにあるかという位置情報のようだ。この傾向はメタ志向を増強し、知そのものへの興味の減退にもつながっている。となるとこれから必要なのは知への渇望を生み出す「アテンション」ではないだろうか。知ろうと思えばいつでも知ることができる状況にあって、なぜいまそれを知らなくてはいけないのか、という動機づけのことである。(ばるぼら:ネットワーカー)


(すべて「INTER COMMUNICATION Autumn 2008」より)