Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

豊かさを享受した10代の若者が自殺する

「悩みを抱えた日本の若者が自分探しに行くインドで、その国の若者が自殺をするという皮肉な現実が生まれている」

インドは世界でいちばん10代の自殺が多いといわれている。この背景には、若者が試験のストレスや失望に対処できないことが挙げられる―幼くしてあまりに多くを与えられた子供は、成長して挫折を経験した際にうまく対処できなくなるというのだ。カルカッタにあるモダン高校校長はこう指摘する。「どんな些細なことでも自分の要望は満たされるべきだ、と考える子供が増えています。そして、これまで『ノー』と言われたことのない子供は、世間が彼らのニーズを満たすことなど気にかけていない、という事実をなかなか認められないのです」

10代の若者の浮き沈みを左右するもうひとつの要因は学校だ。08年4月、ムンバイに住む12歳の女生徒が高速道路から線路に身を投げて自殺未遂を起こした。カンニングの現場を教師に見つかったことがその理由だ。両親が学校に呼び出され、本人は英語の試験を受けることができなかった。翌日には、一生懸命嘆願し誤ったにもかかわらず、他の科目の受験まで禁じられた。さらに悪いことに、彼女の命を救った人物が彼女を学校に連れて行くと、学校はけんもほろろに二人を追い返したのだという。インド連邦下院は現在、学校の試験システムを抜本的に見直すように訴えている。

(「COURRiER Japon」2009年2月号p.40-43より一部抜粋)