Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇

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※予告編ではありません

熱くて短絡的。血の気が多く身勝手な軍人たちのパトリオットドラマ。墜落した飛行機の中から娘だけ助け出して他の搭乗者に目もくれず地球から脱出する主人公にどん引き。戦闘は玉砕のオンパレード。「誇り」のために、自国民を守る任務を放棄して連盟を離脱して特攻する敵艦隊など、理解に苦しむ行動をとるキャラクターが多すぎる。それを讃える一方で娘に対して「命を粗末にするな」と言い放つ主人公のセリフに、失笑。

波動砲は全弾命中、失敗や挫折もなく、ストーリーは軽薄。クライマックスで敵がその目的に反するはずの種明かしをする、都合のいい展開に唖然。緻密な設定のSFアニメに慣れた者にとってみれば、破綻が多い。ブラックホールの大きさの計算が間違っているし、2222年の設定なのに一般人の服装に何の進展も見られず、主人公宅も低成長時代風のリラクシングな家具がまったく無いし、人類人口が6億人にまで減少しているにもかかわらず高齢者の姿が見えない。そもそも異性人の形相が欧風・アラブ風など発想に乏しく、言語が通じるのはアニメだから許せても、敬礼の仕草まで同じというのには呆れた。

ヤマトの発進シーンだけはとても丁寧にカッコよく描かれていて、唯一の見所。