Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

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尾田栄一郎氏はどこかのインタビュー記事で「15歳の自分が読んでおもしろいと思うものを描く」と語っていた。そうやって「誰に」語るためかをブレずにつくられたストーリーは、対象外の者にもメッセージを伝えられるし、エキサイティングだ。

期待以上。小西康陽氏の音楽とともに、ユニークで凶暴な野生動物たちがたたみ掛けるようにルフィ海賊団を襲うオープニングから、テンションは高まる。さらわれた仲間を助けるというストーリーは原作にも何度かあったが、展開のディテールはオリジナル性が高く、意外に気にならなかった。僕がこのマンガを好きな理由の一つはファッションで、その点は映画らしく、いつもと異なる服装に身を包んだ主人公たちの活躍がカッコいい。

2時間という映画の枠は、登場人物の心の動きや背負うものを丁寧に描くこのマンガに不似合いで、そこが本作品の限界だろうか。但し、原作を読んでいて登場人物のバックグラウンドを理解している人は、じゅうぶん楽しめるはず。入場時にもらえる0巻に、本作品の敵「金獅子のシキ」の20年前が描かれているが、数分で読めるので、上映前に読んでおくのがオススメ。