Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

涼宮ハルヒの消失

D


ハルヒ」は、アキバっぽさが強すぎて敬遠している類の作品。テレビ放映は見たことがないし、もちろん原作ノベルも未読。ではなぜこの劇場版を観たかというと、とある辛口映画評論家が大絶賛していたから。そこまでなのか?と。

何も予備知識がない状態で観たため、普段は普通を装っているメインキャラクターたちにまつわる設定の奇特さにまず爆笑。そしてその、宇宙だとか未来だとかSFっぽい刺激的な設定がこの物語の魅力であることはすぐに理解ができた。しかし驚いたことにこの劇場版は、そのキャラクター設定を根底から覆す仕掛けを持つことによって話が展開していく。よくある劇場版オリジナルのキャラクターを登場させず、主に主人公と思われる語り手の男子高生の、観客からすればこの物語の設定自体と言ってもよい、自分の置かれた環境に対する考えの揺れがテーマとなっている。つまり、極めて内省的なストーリーだ。

そして、ややネタバレにはなってしまうが、本編を観ている者には当たり前のように思われている「ある設定」が破綻しかける、という、なかなかショッキングな展開。実は上映時間は3時間近くに及ぶのだが、え、もう終わり?と思う、スリリングで充実した内容になっている。