Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

トロッコ

D

ある夏の日、小学生の敦は、急死した台湾人の父親の遺灰を届けるため、弟と日本人の母親と3人で、台湾中南部の小さな村を訪れる。近くて遠かった父親の故郷には日本語を話す祖父母たちが待っていた――日本統治時代をしなやかに生き抜いてきた祖父母たちの無償の愛、すべてを包み込む雄大な自然に癒され、ゆっくりと一家は「絆」を取り戻してゆく。

幼いとき、好奇心が任せて無茶をしてしまい、図らずも人里離れたところに置き去りにされてしまった。泣きじゃくりながら、自分はオトナになるんだ、自分で責任を持つんだと覚悟を決めて、険しい道を踏破して家に帰る。オトナへの階段を3段抜かしで昇るような瞬間が、このスクリーンにあった。