Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

非営利組織の経営

非営利組織の経営―原理と実践

非営利組織の経営―原理と実践


「ミッション」の表現は、それに基づいて現実に動けるものではならない。そうでなければ、単なるよき意思の表明に終わってしまう。その機関が現実に何をしようとしているのかに焦点を絞ったものでなければならず、その組織にかかわる一人一人が、目標を達成するために自分が貢献すべきことはこれだ、といえるようなものでなければならない。(p.7)

ビジネスの場合は、結局、利益で判断が下される。政治の世界では、つまるところ再選されることが全てである。しかし、非営利機関の場合は、そのようなたった一つの決定的な評価基準というものはない。非営利機関のリーダーたる者は、バランス、統一性、そして成果に関する各種の判定基準の組み合わせに取り組まなければならない。(p.23)

有能なリーダーは、決して「私」とはいわない。そもそも「私」のことなど考えていない。「われわれ」のこと、「チーム」のことを考えている。チームを有効に機能させることが自分の仕事だと心得ている。(p.25)

この国は、基本的にボランティアで成り立っています。個々人の生涯の目標の達成に貢献できる人物であると認められるからこそ、リーダーに選ばれたという面が強いと思うのです。端的に言うと、リーダーは、組織に対しある種の資産について借りを負っているのです。たとえば、組織が適切な人材を採用する能力です。必要な資金を集める能力も重要な資産です。それに、はっきり目に見えるものではありませんが、組織の価値観です、自分がその価値観を作ったわけではなくとも、リーダーは、その価値観を具現し、その意味するところを明確にする責任も持っていますし、また、意思決定もその価値観に従って行われるということを組織内の人々に保証する責任があります。(p.47-48 マックス・デゥプリー:ハーマン・ミラー社会長/ホープ大学理事長)

あなたがいま最も強く言われたことは、資金源の開拓とは、人々の開拓だということです。(p.123)

有効な意思決定において最も大事な部分は、「それが本当は何についての決定なのか」を考える部分である。それらしく見えるものが、本当に決定すべき事項であることは、むしろまれである(p.153)

本書は、来るべき市民社会とはいかなるものであるかに関心を持つ人々に読んでいただきたい。コミュニティが重視され、多数のボランティアが自己実現の場としてそこで活躍できるよう、優れたマネジメントのなされる非営利機関、そして、それを中心とした新しい市民社会に関心を持つ人々に読んでいただきたい。(訳者あとがき)