Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

『暴力団』

暴力団 (新潮新書)

暴力団 (新潮新書)

暴力団についてはこれ一冊で良いです。著者の暴力団に関する取材の集大成。


海外のいわゆる「マフィア」が、経済活動を主目的とした非合法な組織であるのに対し、日本の暴力団は互助的性格を持ち、法律で定義された合法的な組織であることは、きわめて特徴的であり、興味深い社会学的考察を呼びます。

私は(業務上の関心から)暴力団員の逮捕報道を更新しているブログを購読しているのですが、彼らの逮捕容疑を見ると、本当にセコい事ばかりしていて、驚きを通り越して呆れます。知れば知るほど、怖がる必要はないと思える。それが暴力団です。

暴排条例が施行され、暴排の機運が高まっている今、暴力団の弱体化は必至。「構造不況業種」になった暴力団は、構成員の減少と高齢化が進んでいるといいます。それを踏まえた、これからの犯罪組織集団はどうなるか、という本書の推察は貴重です。「半グレ集団」と呼ばれる代替勢力についても、1章を設けて言及しています。