Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

ロストパラダイス・イン・トーキョー

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もう今週末で公開は終わってしまいましたが、レイトショーなのにかなり観客多かった(超満員になった日もあるようです)ので、またいずれどこかで上映されると思います。会社帰りに、家とは逆方向の東中野までわざわざ観に行った甲斐がありました!

宣伝で引き合いに出されるあらすじとして「知的障害」とか「デリヘル」とか目を惹く言葉があって、シリアス系かと思いきや、実は青春映画でした。終盤まで何度も主人公たちを打ちのめす、予定調和的ではないストーリーはとても共感できます。表情をあまり映さずとも光の具合や人物の立ち位置で気持ちを読み取れるような撮影テクニックや、展開に必要ないのに怪我させて、後でイケメンの表情やポーズを豊かにする手口は上手いと思います。寓話的な展開とリアルな風景が同居して、普段「感動大作」を観る時とは明らかに異なる種の、空気のような幸福に満たされました。ちょっと期待してしまう「こんな会社辞めてやる!」的なシーンがなかった理由はたぶん、痛いヒーローにしか描けないからじゃないかな。感情に真摯で、結構メルヘン。そんな東京のひとかどの青春。優しく揺さぶられる感じが、すごくよかったです。