Rays and Waves

tdswordsworksによる映画・音楽・アート・書籍などのレビューや鑑賞記録。

Lillies and Remains / Moralist S.S.

Moralist S.S.

Moralist S.S.

美しさと鋭さを両立した、これほどカッコいいアルバムを見つけたのは久しぶりだ。暴力的で病的な系統に分類されるヴォーカルは、普段の僕は決して耳を止めることのない類のものなのだけれど、驚く間もないほどすんなりと、この脳の中に入り込んできた。あいにくJ-POP以外を聴かない僕には、トラックメイカーKENTが参照した楽曲については全く検討がつかないが、上質な音楽的バックグランドを糧にしているだろうことは、すぐにわかる。それだけ周囲の「雰囲気」をがらりと変える力を持っているバンドだということだ。情熱と客観性を兼ね備えたこれらの楽曲は、ポップとロックの原理的な交点に存立しているのだと思う。