2008年のお気に入り映画TOP10
1. SHARKWATER <加>
2. 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 2~私を愛した黒烏龍茶~
4. 雲南の花嫁 <中国>
5. ファニーゲームU.S.A. <米>
6. パコと魔法の絵本
7. カンナさん大成功です! <韓>
8. 奈緒子
9. FROZEN TIME <英>
10. トウキョウソナタ
SHARKWATER 神秘なる海の世界 特別版 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: Blu-ray
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ドキュメンタリー映画が他の映画と決定的に異なるのは、「エンディング」がない、ということだ。たとえ展開上のクライマックスがあり、エンディングシーンが「結論」として描かれていたとしても、「エンディング」の先に描かれぬ現実が続いていることは、ドキュメンタリーのひとつの限界だし、そうでなければドキュメンタリーではなく、記録映画だろう。では、「エンディング」が期待できないドキュメンタリー映画をどう観るか。・・・それが難しいのだ。娯楽には終わりがなければいけない。終わりの見えない娯楽は実は苦痛だ。だからドキュメンタリーはなかなか娯楽になれない。
この「SHARKWATER」も、最後まで終着点が読めなかった。しかし僕が年間1位をこの映画に授ける理由は充分ある。観た人の感覚を根こそぎ変えてしまえる作品なのだ。
作品の展開は、まずサメが危険な生き物ではないという説明(サメがほんとうに美しく撮られている)があり、サメの密漁の現実とその裏にあるギャングの存在を暴く流れになっている。密漁阻止の活動の中で若い監督が語るコメントからも、監督がいかにサメを愛しているかが伝わってくる。
映画「JAWS」の影響でサメは一般的に獰猛で危険なイメージを持たれているが、実は驚くほど繊細な哺乳類であり、捕食のために人間を襲うことはない。サメが人間を襲う事故はすべて、サメ自身が人間という危険を回避すべくとる行動だという。一方、世界的にフカヒレの需要が高まる中で、悪者のサメは密漁のターゲットにされている。
監督が一匹のサメと寄り添って海中を泳ぐ美しいラストシーンからは、それが失われてしまった人間と自然の相愛関係を取りもどそうとする自然保護活動の象徴でありながら、生物の枠を取り払って個体どうしがお互いを大切に思える、シンプルな愛情を感じられた。
この作品を映画館で観たとき、僕のほかにたった2人しか客がいなかったのが残念でならない。TSUTAYAにDVDが置いてあるので、ぜひ観て欲しい。すべての人にオススメだ。
秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~ スタンダード・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: DVD
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劇場版第一弾に引き続き、第二弾も観てしまいました。2作目なので正直そんなに期待してなかったのですが、笑えるし、ミョーに本質突いてるし、最後はほっとできるので、いいです。
サントリーに「ネーミングライツ」を購入してもらい、映画史上初めてタイトルに適用されたとして、ニュースにもなっていました。それ以外にもプロダクトプレイスメントを敢えて積極的に実施し、そこから展開されるギャグがこの映画の重要なエッセンスです。
制作費予算の残額を示すゲージが、スクリーンの右端に常に表示され、スポンサー名や商品が劇中に出てくるとゲージが回復します。このアイディアは前作に引き続いてのもので、徹底的に広告をネタにしている点は好みが分かれるかもしれませんが、ギャグとしては俺は大好きです。
- 出版社/メーカー: CCRE
- 発売日: 2008/06/20
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石田卓也は既に何本もの主演映画をこなしているけれど、「グミ・チョコレート・パイン」がこれまでの最高傑作。役作りのために8kg太ったという役者魂にも感服だけど、大槻ケンヂ原作のストーリーがとてもいい。男子中高生の「根拠のない万能感・他者との差別化願望」がほんとうに巧く描かれている。
2008年、邦画実写作品の中でNo.1。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2009/01/30
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前出の『古井戸』のレビューでも書いたが、昨年の夏ごろから中国の映画や美術に積極的に触れる機会をつくってきた。抑圧されてきた中国文化のことを考えると、「中国は文化後進国ではないか」という印象が僕にはあった。でもあるとき、それは単なる仮説でしかないな、それを検証することもちょっとおもしろいなぁと思ったからだった。幸い昨年は、北京五輪のおかげか、探せばそういうチャンスは多かった。この映画は、少数民族の恋愛としきたりを描いた作品で、2005年に中国国内で公開され、いくつかの映画賞を受賞している。
「雲南イ族の夫婦たるもの、結婚後3年は同居するべからず」
そういうしきたりがあるようだ。しかしどうしても夫に会いたい主人公は、夫の仕事である龍舞隊に入隊。そこから様々な紆余曲折が描かれてるが、主演2人の幸せや苦しみの表情、そしてその背景となる雲南の大自然と人間の営み、それらがいとおしく描かれている。ジャンルで言えばラブ・ロマンスだけど、鑑賞後の充足感がとっても心地よい。
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
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これほどゾッとする思いをさせられた映画はありません。これを傑作と呼んでいいのかわからず、100点満点で100点かもしれないし、0点かもしれません。ランキングに入れるかどうかも悩みましたが、この映画抜きに2008年を締めくくれないので、無理やり入れました。他の良作を押しのけてわざわざ上位にランクインさせる必要のない映画ですので、順位は適当です。
1997年に製作されカンヌで賛否両論の嵐を呼んだ「FUNNY GAMES」のハリウッド版リメイク。しかし極めて非ハリウッド的。というよりこれは、暴力をビジネスのために消費するハリウッドへの、ハネク監督の暴力的挑戦状でしょう。ハリウッドはそんなことを気にもかけず、さらにその作品をビジネスにするわけです。いちばんの被害者は、いつの間にか加害者にされている僕ら観客自身なのです。
緻密な構成、観る者がまったく期待しない展開、最悪な後味。
[rakuten:joshin-cddvd:10174550:detail]
まさかそういう映画だとは思ってなかったんだけど、号泣しました(笑)
中島監督作品の、CGメディア世代としては放っておけない映像は今作も冴えてて、かなり楽しい映画になってます。でも。ファンタジー映画だからって侮るなかれ。
この作品が観客に訴えるのは、生活の中で氾濫する大量の情報を受容し、それをあっという間に消費していく高度情報社会において、「他人の心に自分がいることがどれほど嬉しいことか」「他人の役に立ったという実感がどれだけ貴重か」ということ。
主人公の大貫とパコの関係でそれを示した後、元有名子役(妻夫木)とナース(土屋アンナ)のエピソードでそれをオーバーラップさせられたときには、熱いものが凄いスピードでこみ上げてきました。
自分の話をすると、俺はひとりで行動することがかなり多いタイプで、映画も美術館も旅行もひとりで行ってしまう。もちろん、その方が効率的に自分の好きなものにたくさん触れられるからメリットもあるんだけど、やっぱりさみしいと思うこともあるわけで。希薄な関係が多くなってしまう行動特性なので、逆に、誰かに忘れられない存在になりたいという強迫観念もたぶん強いです。だからこうやってブログを続けてたり、詩みたいなものも書いてみたり、流行におもねらない独自のファッションスタイルを築こうとしてたり、世間に提示できる新たな視点はないかと探求してたりするのかもしれません。それはとても難しいけれど、希望もあると思っています。この映画を観て、その楽観にも少しくらい裏付けはあるかなと思えました。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/05/08
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原作は日本のマンガ。さすが映画大国の韓国。娯楽作品としての脚本、映像の完成度がものすごく高い。日本でも今年リメイクされたけど、絶対にこちらを見るべき。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2008/07/11
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スポーツをテーマにした映画を好んで観に行きます。中でも、コメディタッチの作品よりは、恐怖感だったり、実力差に対する絶望、才能への嫉妬など、微妙な心境の変化がきちんと描かれる作品の方が好きです。「奈緒子」は高校駅伝をテーマにしたマンガが原作。
「14歳の母」「恋空」で2007年ブレイクした三浦春馬。駅伝のトップランナーは、線の細い彼にとってまさにハマリ役で、走るときの細かな表情も、長い芸歴で培われたもの。1990年生まれの彼の良さが最大限に活かされた主演作です。
一方で、複雑な心情の奈緒子を演じて見せた上野樹里。「のだめ」の強烈キャラ、「ラスト・フレンズ」のレズビアン役と、利き幅の広い女優だなと思います。
とにかくこの映画で良いのは、走るシーン。原作コミックのストーリーの素晴らしさが、動的に上乗せされるのです。このスポーツ映画の「緊迫感」の発見は、僕にとって2008年上半期最大の収穫でした。
- 出版社/メーカー: CKエンタテインメント
- 発売日: 2008/07/25
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失恋によって不眠症に陥ってしまった主人公の妄想を、美術的バックグラウンドを持つ監督によって映像化したイギリス映画。画質効果が印象的な美しさを見せる、アートシネマです。彼女に叱られて物を投げつけられるシーンがスローモーションに。雪振る街角がストップモーションに。ハマりました。
これ観て味わえるのは、オトコがオンナを好きになる瞬間の感覚。
原題「CASHBACK」はレジ係の新恋人を示しているのだと思いますが、邦題「FROZEN TIME」もこの作品のセールスポイントを的確に示しています。
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/04/24
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家族の映画なのに、家族4人がバラバラ。それぞれが秘密を抱えていて、秘密そのものよりも秘密を言えない事に溺れて沈んでいく。
「ドーナツ作ってるのー。降りてこなーい?」
「要らなーい。」
小泉今日子のつくるドーナツだったら喜んで食べたいのにな。